11回目の出場となるアイアンマンハワイ・ワールドチャンピオンシップを完走しました。実際にクイーンKハイウェイを走ってみて分かったことは、やはりSLICEは「風に強い」ということでした。

ハワイ島の西海岸、コハラコーストを北に南に往復するラヴァフィールド(溶岩地帯)の広がるチャレンジングなコースでのバイク180キロは、アイアンマンハワイの最も象徴的なパートと言っても過言ではありません。風が猛威を振るうこのコースをSLICEに乗って走れることを本当に楽しみにしていました。
バイクコースのアスファルトは、午前9時にしてコナの陽ざしを照り返し、だんだん暑さが厳しくなってきました。クイーンKハイウェイをハワイ島北西部にあるカヴァイハエまで進み、そこから北西に延びるハイウェイ270号からバイクコースの折り返し地点を目指します。通常、ここはコハラの山から海に向かって吹き下ろす向かい風が強く、上り基調が続きアスリートの体力を消耗させます。しかし、今回はそれほど風も強くなく、折り返し手前では海風が雨を降らせ涼しくさえなりました。軽量なSLICEは上りでも軽快に進みます。

コナウィンドの中をSLICEで駆る

折り返し地点から追い風によりは時速50キロ以上ものスピードが楽に出せる高速コースを楽しんだら、ここからがバイクコースの本番です。残り55キロ、ハイウェイ270号からクイーンKハイウェイに戻るところで、徐々にバイクの進む方向を南に変えながら風の具合に意識を向けます。どれぐらいの風が吹いているのか、往路ではそれほど意識しませんでしたが、ようやくその脅威を認識させられることになりました。いよいよSLICEの本領発揮の時です。

カヴァイハエでは海から山に向かって風が吹き上げます。また、「ムムク」(通称コナウインド)というコナ特有の風がマウナケアの山から吹き下ろしてきます。これらの風がクロスウインドを形成し、西寄りに走ろうが東寄りに走ろうがどちらを向いても向かい風や横風がアスリートの行く先を拒み続けるのです。アイアンマンハワイのバイクコースが過酷だと言われるのは、ほぼまっすぐに続く溶岩地帯のハイウェイの暑さに加え、このコナウインドの猛威があるからでしょう。肉体だけではなく、精神の強さが試される場所なのです。エアロバーに身を伏せ、ひたすらSLICEを走らせ続けました。横風は気になりません。130キロ地点を越えたころでは、ややパワーメーターの数値が目標より下回ってきたもの、まだまだ調子はよく、4月の宮古島で実証済みなように、エアロポジションを長時間取り続けていても、以前なら起こっていた腰痛もまったくありませんでした。
しかし、140キロを過ぎても風は相変わらず吹き続け、そして、その風がさらに強くなり始めた150キロ地点では突然ペダルを回す脚に力が入らない感覚が広がり始めました。エネルギーが足りない。経験したことのある人ならわかる、あの力が抜けたフワフワしたイヤな感覚です。結局、170キロ地点にあるコナ空港の入口付近までの20キロを苦しむことになりました。疲労感も強く辛い20キロでしたが、SLICEとともに精神だけは負けなかったと思います。ラスト10キロは、風の向きが変わってペースが上がり、次のランへ気持ちを切りかえる準備をしながらフィニッシュまで駆け抜け、5時間台でバイクパートを終えました。

どんな風でも、切り裂いて進む

ランのときに沿道の角に立つ人が持っていたプラカードの言葉が目に入りました。「Pain is temporary, finishing is forever(痛みは一時的なものの。でもやり遂げることは一生のこと)」。走り続けることの苦痛などはフィニッシュすればすぐに忘れてしまうでしょう。しかし、このレースを最後まで全力でやり遂げ完走することは一生忘れない記憶として心に刻み込まれるのです。フィニッシュでの総合タイムは11時間22分で目標タイムには届きませんでしたが、4月の宮古島大会出場以降のトレーニングは順調で、今回は万全の態勢で臨むことができました。何よりも、今年のあの宮古島の猛風の中でSLICEの高い性能を体感できたことと、「あの風の中を走り切れたのならコナの風だって大丈夫だ」といった確信をもち、SLICEとともにコナに挑むことができたことを心から感謝したいと思っています。

スライスチャレンジとは?

キャノンデールの誇るトライアスロンバイク「SLICE」に乗り、男女各1名のトライアスリートが宮古島トライアスロン大会の完走を目指すチャレンジ企画です。コーチにはアイアンマン・ハワイ出場経験11回をもつスポーツドクターの彦井浩孝氏を迎え、宮古島完走のための対策や、2人の挑戦記を専用ページ内やfacebookで発信しています。ロングで上位を目指す人やこれからロングを目指す人も必見です!

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