誌面番外編「Road to IRONMAN」

白戸太朗

「安心・安全なバイクライド環境を考える」

保険加入は大人の自転車マナー

LUMINA本誌で、白戸さんを監督にアイアンマンジャパンに初チャレンジするメンバーとともに、本番までの5カ月間、そのプロセスをリポートしていくRoad to IRONMAN。
Webサイト番外編では、メンバーの天方さんと、白戸太朗コーチに安全なバイクライドについて語っていただいた。

しらと・たろうスポーツナビゲーター。トライアスリートとして世界を舞台に活躍。現在はトライアスロン普及のために株式会社アスロニアを設立し、ショップ、スクール、大会などを手がける。ロスカボスにて2014年もハワイ出場権獲得。1966年、京都生まれ。http://www.maidotaro.com/

練習で街を走るときに考えること

白戸太朗さん(以下白戸):バイクトレーニングはうまくできてる?
天方美和さん(以下天方):とっても楽しくできてはいるんですが、気持ち良く乗れるところまで行くのは大変です。ランなら自宅から出てすぐに安全に走れるので、違いはありますね。都内から出るとなると、意外と面倒です。

白戸:それを回避する方法となると、クルマで移動する、輪行なんて手もあるけど、なかなかそれも手間なところはあるよね。そうすると、結局は遠くに行かなくても、自宅近くの街中で不安なくトレーニングできるように、スキルを上げていくしかいない。

天方:それはテクニックの部分ですか?

白戸:自転車って、自分に理由があることよりも、ほかの要因でトラブルに遭うことが多い乗り物だよね。歩行者が飛び出したり、クルマに幅寄せされたり、自分のコントロール外のところからも、トラブルがやって来る。

天方:そうですね。自分はともかく、人にぶつかってケガをさせてしまうのも怖いんですよ。1度ロングライドに出かけると、ヒヤッとするタイミングが必ず1回はあります。

白戸:やっぱり一番しなければいけないことは、予測すること。「交差点ではクルマが出てくるかもしれない」、「駐車中のドアが開くかもしれない」、「クルマの陰から人が出てくるかもしれない」、そんな風に予測しながら、次を想像しながら乗ると、とっさのときに回避しやすいかもしれない。本当に交通量が少ない所なら、練習に集中できるかもしれないけど、街中は周囲の状況に集中した方がいいよね。「自分以外の意思をもったものが、いる状況なんだ」と考えた方がいいよね。

保険加入は大人の自転車マナー

天方:実は私、自転車に乗り始めることになってから、不安に思って保険に入ってるんですよ。

白戸:本当に? 乗り始めてすぐに入る人はかなり珍しい。

天方:周りの人から「早く入れ、早く」とせかされたのもあって、すんなり入りましたね。

白戸:サイクリスト全体でみても、加入率は低いと思う。あまり自転車保険自体が認知されていないこともあるかもしれないけどね。ところで、今はロングライド中のトラブルまで助けてくれる保険があるのを知ってる?

天方:そんなのあるんですか?

白戸:そう! パンクやその他のメカトラブルの際に、スタッフが現地まで来てくれるロードサービスがついているんだよ。ほぼ全国をカバーしているから、どこに出かけても大丈夫。

天方:それは安心かも。

白戸:パンクは自分で何とかなるけど、どこかの山奥でチェーンが切れたりすれば、どうしようもない。実際自分の友達もトラブルでどうにもならなくなって、タクシーで1万円以上かけて帰った、なんて話はたくさんある。

天方:私もその状況になったら、迷わずタクシーですね(笑)

白戸:あとは「示談の代行」をしてくれたり、「自転車の事故に限り保険金が2倍」になったり、「自転車保険」としての内容が充実しているんだよね。さらに掛け金によって変わってくるけど、たしか1億円(※編注シルバーコース、ゴールドコースのみ)まで個人賠償責任補償が付いてくる。
もちろん補償がいいから絶対安心ってことはないけども、加入しておくことで気持ち的に楽に走れるよね。今、盛んに自転車のマナーのことが言われているけど、もしかしたら実走のマナー以外に、保険のことも考えるのが、今後はマナーと言われることになるかもしれない。大人のライダーには必要なことだよ。

あうて

天方:う~ん、私もこの保険にすればよかった。ロードサービスは本当に自分に必要だと思います。

白戸:やっぱり、パンク修理とかメンテナンスに関しては不安がある? レースでは自分でやらなきゃいけないんだよ。大会の時には保険のロードサービスは来ないから(笑)。

インタビュー
柳 保幸さん
au損保株式会社
専務取締役

柳 保幸さん

入りにくい、分かりにくい、使いにくいとされていた「自転車保険」に、ロードサービスなどの画期的な補償を付け、革命的な保険を生み出した。

自転車事故・賠償金額増加などの背景から

自転車の事故というと、車との接触などを思い浮かべますが、自転車同士に加えて、自転車と歩行者の事故が増加しています。また、遠くに出掛けて動けなくなるなど、自転車を取り巻くトラブルもさまざまです。そうした中、自転車にも任意で加入できる保険が誕生し、日々進化しています。

自転車向け保険のサービスを提供するau損害保険株式会社の柳保幸さん(以下 柳)にお話をうかがいました。

―― このような自転車向け保険を作った理由は?

:ここ数年、自転車がどんどん普及していくことで楽しいことも増えてきましたが、その反面悲しい事故も増えていました。それに対して、保険会社として、何とかしたいという思いから生まれたのが、自転車向け保険です。ただ自転車向け保険の加入率は2~3%とすごく低かった。だから商品として魅力的なものにしたいという思いで、いろいろなアイデアを出し、ようやく満足できるものが出来上がりました。

――「自転車向け」保険というポイントはどこにありますか?

:大きな特長は4つです。ひとつ目は「交通事故によるケガを補償して、さらに自転車事故の場合は保険金を2倍」にしているところです。人が道に出るときは、歩行者の場合、自動車に乗る場合、自転車に乗る場合、この3パターンに必ず当てはまるのですが、そのすべての事故においても補償が適用されます。これだけだと「自転車の保険」とはならないので、自転車に関しての事故に対しては2倍の補償を付けることにしました。自損事故はもちろん、自転車同士の接触など、自転車事故によるケガは保険金が2倍になります。自転車だけに「倍シクル」といったところですね(笑)。 2つ目はユーザーさんの盾になる補償です。自転車の場合は、あまり考えたくないですが、加害者になることも十分にあり得ます。これまでの自転車向け保険ですと、その際にご自身で示談交渉をしなければいけなかった。これは本当に難しい。相手側から保険屋さんや弁護士さんが出てきてしまうと、素人では相手にすることはほぼ不可能でしょう。だから私たちが初めて示談代行サービスをつけたんですよ。

――太朗さんのお話の中で出ていた、ロードサービスも4つのうちのひとつですよね。

:これは私たちにしかできないサービスですよ。24時間365日、自走ができなくなった場合、ほぼ全国のどこへでもサービスマンが駆けつけて、最長で20kmまで無料で搬送します。

――かなり画期的ですよね!

:すでに多くの方に利用いただいているのですが、夜の12時にメカトラブルで動けなくなって、連絡をいただいて30分以内にスタッフが到着し搬送された例もありますね。また、ロードバイクに乗る方は、海にも山にも出かけるので、トラブルの際に現在地が分からない場合もありますよね。そんなときには「自転車の日」というアプリを使用していただければ、現在地の特定から、あと何分でスタッフが到着できるかなどの情報が表示されます。自分で言うのもなんですが、非常に便利ですね(笑)。
ただ、アプリ自体は無料なのですが、ロードサービスは、自転車向け保険加入者のみのサービスなので、併せてご利用ください。このアプリには駐輪場検索やコンビニ検索、レンタサイクル場の検索もできるので、自転車に関しては様々な使い方、楽しみ方ができるようになっています。
最後のポイントは「日常生活全般の賠償事故を補償する保険」というところです。保険に入っていても、条件によって保険金が出たり出なかったりすることがあるじゃないですか。「この場合は適応されません」なんて、保険屋さんに言われたことがある人もいると思います。ただこの保険に関しては、生活のさまざまなところで補償が適用されます。例えば、洗濯機の故障で水漏れを起こしてしまい、下の階を水浸しにしてしまった。そんな場合にもこの保険は使えます。それくらい幅広の設計をしてるんですね。


――ところでなぜアイアンマンジャパンをサポートしているのでしょうか?

:久しぶりにアイアンマンが日本に戻ってきた、それを応援したいという気持ちがあったからです。特にトライアスリートは非常に積極的にスポーツを楽しんでいる反面、リスク管理にも長けている人が多いと感じたからという側面もあります。経営者が行うスポーツだというのも分かりますよね。そんな人たちにまずはアピールして使っていただきたいと思いました。
実は昨年、アイアンマンジャパンの表彰式を見ていたら、74歳の方が優勝していた。通例的に保険に加入できるのは64歳まででしたが、それを見てから74歳に引き上げましたよ(笑)。私たちはトライアスリートが、元気に普段の生活を送れるようにこれからもサポートしていきます。くれぐれも安全面に気を付けてほしいと願っています。北海道で会いましょう!