大会当日
選手たちそれぞれの補給作戦

大会当日は曇り。暑くもなく寒くもない、トライアスロンには絶好のコンディションとなった。
朝6時頃からバイクがゼッケン順にセッティングされた第1トランジションエリアには、続々と選手たちがやってきて、タイヤに空気を入れ、補給食やドリンクなどの準備を始める。チームVAAMのメンバーたちも、スタート前に飲むスーパーヴァームのほか、バイクで食べる補給食をセットする。

  • 18歳の大学1年生・平谷隼さんは、3月にニュージーランドでフルのアイアンマンを完走。10月に開かれるアイアンマンハワイの出場権を獲得したという強豪エイジグルーパーだ。
    「この大会はハワイに向けたスピード強化の一環と位置付けていますが、年代別上位、できれば1位を狙いたいです。スーパーヴァームは練習前に飲むほか、練習中も1〜1.5時間ごとに飲みます。スタミナが重要なので、今日もスタート前のほか、バイクで数回、スーパーヴァーム顆粒とピットインエネルギージェルを混ぜたものをとる予定です。他にエナジー羊羹と甘酒などとりやすいものを持っていきます」

  • トライアスロン歴3年尾崎恵子さんは、去年洞爺湖のアイアンマンジャパンをギリギリ完走。このセントレアも出場したが足底筋膜炎の影響もあってまともに走れず、7時間30分かかった。今回怪我も治ったのでリベンジしたいとのこと。
    「VAAMは前にも飲んだことあるんですが、味がおいしく飲みやすくなりましたね。運動中の感覚としては、カラダの中が熱くなってエネルギーが燃焼する感じがします。補給食はフルよりかなり少なくてすみますが、スポンジケーキや羊羹などを持っていきます」

  • トライアスロン歴2年の西田宜幸さんは、ショートを2回完走しただけで、今回が初ミドル。完走が目標だ。
    「VAAMはトライアスロン始める前から愛飲しています。以前は体重90kg、体脂肪率30%超のメタボ体質で、やせるためにウォーキングをして65kgまでやせたんです。運動前にはVAAMを活用してましたね。今はトレーニングで筋肉がついて70kgですが、体脂肪率10.5%。補給食は実際にどれくらい必要になるかまだよくわからないので、スーパーヴァームゼリーやスポーツ羊羹など少し多めに持っていこうと思います」

体脂肪という膨大なエネルギー源を
いかに活用するかがポイント

持久系スポーツのエネルギー消費量はその人の運動能力、体質、体重などによって異なる。トライアスロン専門誌『トライアスロン ルミナ』2016年6月号の記事「もう一度整理しよう、補給の基礎知識」(指導:彦井浩孝)に紹介されている持久系スポーツのエネルギー消費量の計算式(※)によると、例えば、体重60kg、3種目の速度がスイム90秒/100m、バイク時速30km、ラン5分30秒/km程度、アイアンマン70.3の3種目の合計タイム5時間24分(2回のトラジッションを含む)という、平均的なアマチュアアスリートを想定すると、アイアンマン70.3で消費するエネルギー量は約3600Kcal。

同じく『トライアスロン ルミナ』6月号の記事によると、このエネルギー量のうち体内の脂肪でまかなわれる割合も、体質、運動能力によって大きく変わるが、ハイレベルな選手ほど脂肪の割合が低くなり、糖質の割合が高くなる。遅い選手で脂肪40%・糖質60%、速い選手で脂肪20%・糖質80%と言われる。平均的な選手の比率を仮に脂肪30%・糖質70%として計算すると、脂肪でまかなわれるエネルギー量は1080kcal、糖質は2520kcalとなる。

糖質の場合、体内に蓄えることができるのは、約2000kcalと言われる。筋肉や肝臓などにグルコーゲンとして蓄えることができる糖質は、よく鍛えたアスリートで最大1600kcalとも言われている。これに朝食などスタート前にとった糖質を約400〜500kcalとすると、約2000kcalの糖質がスタート時の体内にあると考えることができる。

※エネルギー消費量の目安を求める計算式

SWIM
エネルギー消費量(kcal)=係数A×体重(kg)×運動時間(分)
例)A=0.140(2分10秒/100m)、0.193(1分30秒/100m)

BIKE
エネルギー消費量(kcal)=係数A×体重(kg)×運動時間(分)
例)A=0.1575(時速25km)、0.1775(時速30km)、0.2028(時速35km)

RUN
エネルギー消費量(kcal)=係数A×体重(kg)×運動時間(分)
例)A=0.135(キロ7分)、0.193(キロ5分30秒)、0.228(キロ4分20秒)、0.252(キロ3分45秒)

自身のペースに近い係数Aを計算式に当てはめれば、エネルギー消費量が算出できる。

係数Aをもっと細かく設定したい場合は、間の値を案分して求める。
たとえばスイムで実際のスピードが「2分/100m」だとすれば、 「0.140(2分10秒/100m)」「0.193(1分30秒/100m)」の2つの係数を使って求める。
0.193-(0.140-0.193)÷(2分10秒-1分30秒)×(2分-1分30秒)=0.153

つまり補給食として必要なのは2520-2000=520kcalということになる。

520kcal を補給するには、例えば、ザバスビットインゼリーバー(1個100 kcal)なら約5個、ザバスピットインエネルギージェル(1本170 kcal)なら約3個に相当する。この補給食を最初のトランジションとバイクの終盤までにとらなければならないことになる。平均より速い選手や、遅くてもレース中の脂肪燃焼効率が不十分で糖質に頼りがちな選手はもっと多くの補給食が必要になるだろう。選手の慣れにもよるが、補給することはそれほど簡単ではない。胃にも負担がかかるし、セントレアのようにバイクコースにコーナーがたくさんある場合は安全に補給するのが難しい。

そこで注目すべきエネルギー源が体内に蓄えられた「体脂肪」だ。 どんなに体脂肪率が低いアスリートでも、体内に数万kcal相当の脂肪を蓄えている。脂肪が燃えやすいカラダを作れば、レース中も脂肪でまかなえるエネルギー消費の割合がアップし、糖質の補給食にそれほど依存しなくてもすむようになるという声も多い。運動中に体脂肪のエネルギーを活用する。チームVAAMの挑戦は、このチカラに着目しパフォーマンスにつなげるチャレンジでもある。